Ⅵ.相続税
不動産相続に係る相続税の特例を活用した圧縮事例について
更新日:2026年8月31日
⑲遺産分割の確定を要件とする特例
相続税の申告期限までに遺産分割が確定しない場合には、次の特例が適用されません。
- 小規模宅地等の評価減の特例
- 相続税の配偶者の税額軽減
- 物納
相続税については、納税資金がない場合に相続財産そのもので相続税を納付する「物納」が認められています。しかし、遺産が未分割の場合は、相続財産が相続人全員の共有財産とみなされるため、その共有者全員が持分の全部を物納する場合でなければ、物納することはできません。
未分割のまま期限内に相続税申告を行う場合は、「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付して提出します。その後、申告期限から3年以内に遺産分割を行い、分割後4ヶ月以内に更正の請求をすることで、上記(1)(2)の特例を適用できます。なお、当初の納税額が多すぎた場合は、その超過分が還付されます。
土地の有効活用による相続税評価額の圧縮
甲は5年前より事業的規模の月極駐車場として貸付けている土地(借地権割合70%の地域に所在)を有して います。この土地の時価は4億円であり、地積は400m²です。この駐車場に全額借入金で建築価額1億円の アパートを建築した場合には相続税がどれ位節税できるでしょうか。甲の法定相続人は子供3人で、賃貸事業は 相続人が承継するものとします。甲の相続財産はこの不動産のみ、土地の相続税評価額は時価の80%、建物の固定資産税評価額は建築代金の50%と仮定し、借家権割合は30%、賃貸割合は100%とします。
対策前の相続税の総額は約3,660万円で、対策後の相続税の総額は998万円で、1億円のアパート建設によって2,662万円の相続税の節税となりました。
※令和9(2027)年1月1日以後の相続・遺贈・贈与で、取得・新築後5年以内の一定の貸付用不動産に該当する場合は、令和8(2026)年度改正により評価方法が変わるため、上記の評価圧縮効果・節税額と異なる場合があります。
⑳相続税の早見表
遺産総額と法定相続人の数を基に、相続人全員で負担すべき相続税の概算額を示すものです。
①配偶者のいるケース
| 課税財産額 | 配偶者と子1人 | 配偶者と子2人 | 配偶者と子3人 |
|---|---|---|---|
| 5,000万円 | 40万円 | 10万円 | 0円 |
| 7,500万円 | 198万円 | 144万円 | 106万円 |
| 1億円 | 385万円 | 315万円 | 263万円 |
| 1.5億円 | 920万円 | 748万円 | 666万円 |
| 2億円 | 1,670万円 | 1,350万円 | 1,218万円 |
| 3億円 | 3,460万円 | 2,860万円 | 2,540万円 |
| 5億円 | 7,605万円 | 6,555万円 | 5,963万円 |
| 7億円 | 1億2,250万円 | 1億870万円 | 9,885万円 |
| 10億円 | 1億9,750万円 | 1億7,810万円 | 1億6,635万円 |
②配偶者のいないケース(二次相続など)
| 課税財産額 | 子1人 | 子2人 | 子3人 |
|---|---|---|---|
| 5,000万円 | 160万円 | 80万円 | 20万円 |
| 7,500万円 | 580万円 | 395万円 | 270万円 |
| 1億円 | 1,220万円 | 770万円 | 630万円 |
| 1.5億円 | 2,860万円 | 1,840万円 | 1,440万円 |
| 2億円 | 4,860万円 | 3,340万円 | 2,460万円 |
| 3億円 | 9,180万円 | 6,920万円 | 5,460万円 |
| 5億円 | 1億9,000万円 | 1億5,210万円 | 1億2,980万円 |
| 7億円 | 2億9,320万円 | 2億4,500万円 | 2億1,240万円 |
| 10億円 | 4億5,820万円 | 3億9,500万円 | 3億5,000万円 |
※課税財産額は、基礎控除差引前の金額です。
※配偶者のいるケースでは、配偶者が法定相続分の1/2を相続したときの税額。なお、税額控除は配偶者の税額軽減以外はないものとして計算。
監修
𡈽屋 栄悦(つちや えいえつ) 税理士
𡈽屋 栄悦(つちや えいえつ) 税理士
土屋栄悦税理士事務所HP
https://www.tkcnf.com/tsuchiya/index山形県
平成 8年11月 税理士登録
平成12年
9月 土屋税理士事務所開業
第71回から第73回税理士試験試験委員/租税法務学会常任理事/
東京税理士会会員相談室相談委員/元東京税理士会常務理事/元日本税理士会連合会理事
新 税理士実務
質疑応答集共著(ぎょうせい)
「租税実体法の解釈と適用・2」共著(中央経済社)
「税務における期間・期日・期限の実務」共著(新日本法規出版)
相続税・信託ガイドブック共著(大蔵財協)/税務と法務の接点共著(大蔵財協)など
お気軽に
ご相談ください
マンション、土地、一戸建の居住用不動産のほか、投資用不動産や、事業用不動産もお任せください。
また、権利関係の難しい借地権や底地権などの不動産についてもお気軽にご相談ください。

